乗務５４回目：大安、晴天、お祭りの日曜日

大安の日曜日です。今日は結婚式が多いでしょうから、ホテルや結婚式場、夜には２次会、３次会のお客様が期待できるよ、と先輩にアドバイスをいただき出庫しました。

さて、そんなアドバイスをいただきながら、まずはいつもの土日の作戦、文京区を中心に流し営業です。

湯島に、町屋に、お祭りの格好をしたお客様を、お送りしました。
湯島のお客様の話では、今日は神田明神のお祭りで、神田明神から日本橋界隈までは、みこし通るとき交通規制になるよ。だから、タクシーは近づかないほうがいいよ、とアドバイスをしてくださいました。
ついでにチップ４０円もいただきました。

神田明神のそば、土日によく流すコースです。
今日は、このあたりは通らないようにきをつけなきゃ、いけませんね。

おまけに全国交通安全運動週間です。
不忍通りでは、同じ場所で違った車が、警察につかまっている姿を何度も目撃しました。
携帯電話を使いながらの運転、で、違反切符をきられている様子でした。

お祭りの人は午前中からコンビニの前でビールを飲んでいます。
天気も良くお祭り日和、きっとビールもウマイだろうなあ。

昼はオリジン弁当を小石川で食べました。

午後は人の出入りが落ち着いたと思われるので、都心部をめざしました。
その道中、お祭りで交通規制のど真ん中、外神田の昌平橋通りに飛び込んでしまいました。
交通規制のことなんてすっかり忘れていました。

車線減少で車が詰まっています。

あー、渋滞だ、時間がもったいないなあ。と思ったりもしますが、お客様が乗っていないときの渋滞は、ちょっとした休憩にもなります。

車がおみこしに近づいたときにお客様の手があがりました。日本橋三越までのご乗車。

いきたいところにお客様が連れて行ってくださる、ありがたいことです。

お客様を三越の車寄せ（お客様が車から乗り降りする場所）まで、お送りすると、タクシー乗り場に並んでお客様を待つよう、三越の方に誘導されました。

はじめてのデパートでのつけ待ちです。どんなお客様が乗ってこられるのか、ドキドキします。

待つこと１０分で、お客様です。浦安まで。ラッキーです。

お客様は、赤ちゃん（推定２ヶ月）、３歳児（推定年令）、６歳児（推定年令）、ママ、グランドマザーというご一行様。
助手席には６歳児がお乗りになりました。シートベルトがユルユルです。

こうしたお子様が乗られたときの運転は気をつかいますね。
ショックや揺れのすくない運転、さらに、道徳的に正しい運転（黄色信号でなるべく止まる）ようにします。
追突されても大惨事になってしまうので、まわりの車にも気を使います。

無事、浦安までお客様をお送りしました。さて、これから、どこに行きましょうか。

急いで都心に戻っても、まだお祭りでの交通規制がありそうなので、流してお客様を探しながら都心部をめざすことにしました。

環七、千葉街道、平和橋通り、蔵前橋通り、と通りますが、お客様の気配はありません。

ここで重要なことに気が付きました。

今日は国技館で大相撲の初日だ。相撲を観戦したお客様はタクシーに乗ってくださる富裕層だという噂をきいたことがあります。相撲のときのタクシーの動き方を調べておくべきでした。

明治通り、浅草通り、昭和通り、春日通り、不忍通りと流して、ようやくお客様。
浦安から１時間半ぶりのお客様でした。

夕食は千石の松屋で定食を食べて、小石川で休憩。

休憩中、大事なことを思い出しました。
今日は大安の日曜日、結婚式がらみのお客様がターゲットだった！
今になって考えると、浦安からまっすぐ都心に帰っていれば、結婚式関連のお客様が多かったんだろうなあ、と反省。
これからは、今日の夜の部は結婚式の２次会がお開きになった人を狙ってうごかなければ。

と、営業再開して、銀座をめざします。
ところが、西浅草までのお客様がご乗車、そこから浅草、池袋、とお客様が続いて近づくことができません。
神田まで来たところで八重洲までのお客様、ようやく銀座が着きました。
小石川から銀座まで１時間半がかりでした。

もう２３時を過ぎてしまったので、銀座に人影は少ないです。
が、ラッキーなことに、すぐにお客様が、男性２人です。

「新橋か浜松町で、今からチェックインできるビジネスホテルを探して、そこまで連れて行ってください」

ウーン、これは想定していませんでした。タクシーを運転していると、こんなことあるんですね。
とりあえず新橋に向かい１件目にあたったビジネスホテルで話がまとまりました。

銀座に戻る矢先、男性のお客様。手にはドンキホーテの袋です。
ドンキホーテの袋を持っているお客様は若い方が多く、「やんちゃ」な印象があります。
案の定、「急いでください」と何度も言われました。
日曜日の２３時半、といっても、全国交通安全運動週間なので、恐る恐るアクセルを踏みます。
６０キロの道路を８０キロ、４０キロの道路を６０キロ、３０キロの道路を５０キロ、それでもまだ「急いでください」といわれ、１０分間のご乗車でしたが、心身ともに疲れました。

夜の街でタクシーを流して、お客様をさがしていると、歩道の人影が、目に入ります。
一日を楽しく過ごし、別れを惜しむ恋人たちの抱擁です。
片方が座っていたり、ターンテーブルの上に立っているように回ったり、首から上だけがクンクンとにわとりのようにうごいてたりと、抱擁も人さまざまでした。
こうした人たちの「影」が視界に入るので、「東京の夜は彫刻の森だぜ」と思った日曜日の夜でした。

営業的には２９回、営収は３万円台。
浦安の帰り道の作戦ミスと、結婚式関連のアドバイスを忘れていなければ、４万円台は狙えたんだろうなあ。

左車線をゆっくり走ってお客様をさがしているときに、右側から抜いていったタクシーが、
目の前でお客様をゲッツした、ってのも３回ありました。

でも交通安全運動週間ですからね、無理のない安全運転を続けていこうと思います。